レビュー|RF15-35mm F2.8 L IS USM

キヤノンの超広角ズームLレンズ、RF15-35mm F2.8 L IS USMについて作例などを交えながら紹介していきます。

星景撮影に最適な超広角ズームレンズ

開放F2.8通しのズームレンズ、いわゆる”大三元レンズ”の超広角RFマウントレンズがこのRF15-35mm F2.8 L IS USMです。EFマウントのEF16-35mm F2.8 L IS Ⅲに比べ、広角端が15mmになったことでよりパースを活かしたダイナミックな構図の撮影が可能になりました。

これまで星空の撮影には明るく歪みのない高画質な単焦点レンズ、SIGMA Art 14mm F1.8 DG HSMやEF35mm F1.4L Ⅱ USMを使用してきましたが、携帯性と汎用性を重視し、星景撮影において必要な画角を一本でカバーできるこのレンズを選択しました。

特徴・外観

広角端が15mmまで拡大されたことと手ブレ補正機能(IS)の搭載が一番の特徴です。外観やサイズ、重量は同じF2.8通しの標準ズームレンズ、RF24-70mm F2.8 L IS USMとほとんど変わりません。840gと決して軽いレンズとは言えませんが、IS搭載の明るい大口径ズームレンズであることを考えれば許容範囲でしょう。

手ブレ補正効果はレンズ単体で5.0段分、EOS R5などの協調ISでは7.0段分。開放F2.8の明るさと手ブレ補正があれば暗所での手持ち撮影も全く問題ありません。特に三脚の使用が禁止されている場所での撮影や、暗く狭い屋内での建築撮影、ポートレート撮影では効果絶大です。

15mmまで使える明るい超広角レンズでありながらも前玉が飛び出た”出目金レンズ”ではないので、82mmフィルターや角型フィルターを装着できる点も大きなポイント。

描写性能

開放F2.8からズーム全域で中心から四隅まで歪み無く解像し、ボケは柔らかく点光源は綺麗な玉ボケになるので、ポートレートから風景まで幅広いジャンルで使用できます。天体撮影においても収差を抑え星を点で捉えることができるので、星撮りレンズに求められる性能は十分だと思います。

開放F2.8のボケ描写
開放F2.8で撮影した天の川 

解像性能についてはF2.8から十分解像するのですが、F5.6〜F8辺りが一番解像します。F11以上に絞っていくと解像感が悪くなり、F22ではかなりボヤけた画質になるので注意が必要です。絞りはF2.8〜F11の範囲内で使用した方がいいでしょう。

F値による比較画像(ISO200)

F2.8
F5.6
F8
F16
F22

他のRFマウントLレンズと比較すると高画質感はあまり感じませんが、十分な解像力があるのでそれほど気になりません。

RF14-35mm F4とRF15-35mm F2.8どちらを選ぶか

超広角ズームレンズを選ぶ際にRF15-35mm F2.8 L IS USMと、広角域を14mmまで拡大しながらも、軽量かつコンパクトで高画質なF4通しのRF14-35mm F4 L IS USM、どちらにするか悩む人は多いと思います。

結論から言うとF2.8の明るさが必要なければRF14-35mm F4 Lがオススメです。RF15-35mm F2.8 Lより価格も安くて300gも軽く、5.5段分の手ブレ補正機能を搭載しているので、様々なシチュエーションに対応できる使い勝手のいい万能レンズです。

しかしボケを活かした表現や星空の撮影、露出の厳しい悪条件下での撮影を行う人にとってF2.8の明るさは必要不可欠なので、RF15-35mm F2.8 L IS USMを選ぶべきです。

作例

15mm ISO200 F8 1/30s EOS R5
15mm ISO200 F8 1/13s EOS R5
15mm ISO1000 F2.8 25s EOS R5
20mm ISO200 F11 1/250s EOS R5

まとめ

RFマウントでは明るい超広角レンズがRF15-35mm F2.8 L IS USMとRF16mm F2.8 STMの2本しか発売されておらず、選択肢がほぼ無いのが現状です。レンズ性能より携帯性を重視するのであれば、低価格でありながら天体撮影も可能なRF16mmという選択も良いと思います。

私は山岳地帯でテント泊をしながら14mm〜35mmの画角で星景写真や角型フィルターを使った撮影をすることが多いのですが、重い単焦点レンズや専用フィルターを持ち歩かずに全て1本でこなせるRF15-35mm F2.8 L IS USMは最適解でした。RFレンズのラインナップが充実してくれば選択肢も増えると思いますが、これから先も長く主力として使っていける優秀なレンズだと思います。

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佐藤 徹

1986年岩手生まれの岩手在住。 東北の山々や自然風景、鉄道情景を撮影しているフォトグラファー。 日本山岳写真協会会員

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