レビュー|スポルティバ エクイリビウム トレック GTX

2024年、スポルティバ(LA SPORTIVA)の3シーズン用高性能登山靴エクイリビウムシリーズに新しく【トレック】、【ハイク】の2モデルが登場しました。そのうちの1つ【エクイリビウム トレック GTX】(AEQUILIBRIUM TREK GTX)を60時間ほど使用したので紹介していきます。

長時間の山行に最適な軽量登山靴

エクイリビウム トレックGTXを選んだ一番の理由が、レザーアッパーのハイカットモデルでありながら約540g(片足)という軽さ。同じレザーアッパーモデルのエクイリビウム LT GTXの約640gと比べて約100gの軽量化がされています。特に重い撮影機材やテント泊装備を背負っての縦走では足への負担が特に大きいですが、トレックGTXは15kgを超える荷物を背負って10時間歩き続けても足の疲れを感じませんでした。1gでも登山靴を軽くして足の負担、疲労を軽減したい人におすすめです。

既存シリーズとの違い

エクイリビウム ST GTX、エクイリビウム LT GTXは岩場のアプローチが長い穂高連峰や槍ヶ岳、雪渓のある山の縦走に適したライトアルパインブーツですが、エクイリビウム トレック GTXは東北や北海道の2,000mクラスの縦走に適したトレッキングシューズとなっています。

エクイリビウムの特徴であるヒールブロックはそのままに、既存シリーズからアウトソールのラグパターンが変更され、爪先部分のクライミングゾーンが無くなり前足部のブロックが控え目に。既存モデルと比べると前足部のクッション性が弱く、凹凸の多い岩場を歩くと足裏の衝撃が気になりましたが、クッション性のあるインソールを入れる事で気にならなくなるかもしれません。

またエクイリビウムST・LTがセミワンタッチ式アイゼンが装着出来ることに対し、トレックGTXにはヒールのコバが無いためセミワンタッチ式アイゼンの装着は出来ないので注意が必要です。(軽アイゼン、チェーンスパイクは装着可能)

足に馴染む抜群のフィット感と歩行性能

エクイリビウムシリーズの特徴でもあるダブルヒール構造と3Dフレックス構造により、足首周りの可動域がとても広く、ハイカットモデルである事を忘れるほど軽快かつ安全に急斜面の登り下りすることができます。また靴内部の足の形状に合わせた構造と伸縮性により幅広甲高な私の足にもフィットし、つま先部分においても圧迫感が一切なく、長時間履いても指が痛くなったり擦れやマメができることもありませんでした。

レザーでありながらも靴全体が柔らかく、しゃがみこんだ体勢で写真を撮る際も非常に快適です。

まとめ

高性能なエクイリビウムの特徴を活かしつつ、ロングトレイル用に軽量化されたトレックGTXは岩綾帯が少なくコースタイムの長い山を登る人や、東北や北海道エリアの山を中心に登る人にはとても相性の良い登山靴です。

ただ北アルプスのような岩場が中心の山や、アイゼンが必要な山行が多い人は汎用性の高いエクイリビウムST GTXがオススメ。登る山や行程に応じて使い分けるのが理想的です。

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佐藤 徹

1986年岩手生まれの岩手在住。 東北の山々や自然風景、鉄道情景を撮影しているフォトグラファー。 日本山岳写真協会会員

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